加護犬

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笊かぶり犬(ざるかぶりいぬ)、籠かぶり犬(かごかぶりいぬ)と呼ばれる郷土玩具がある。

安産祈願や子供の健康祈願、慶事が続くようにと願いが込められている 縁起物だ。

この置物は張り子の犬に竹籠を被せたユニークな形をしている。

なぜこのような形をしているのか?   「笑」という漢字を表しているという。

「笑」という字は、「犬」の上に「竹」冠を載せたような字だ。

まさに籠かぶり犬を表す漢字。

なんとも愛らしく、洒落のきいた置物だろうか。 見ていると幸せな気分になる。

笑顔になる。  一目見て気に入ってしまった。 

2018年の戌年作品は、これを題材に製作することにした。

モチーフとなる犬種は日本犬。

私が小学低学年の頃、我が家にやってきて15年ほど一緒に過ごした犬がモデル。

名をコロという。  柴犬風の雑種だ。

幼い時分、一緒に遊んでいた。 抱きかかえて投げたり、プロレスのようにして遊んでいた。

私と同じくらいの大きさなので良い勝負になる。 

ジャンバーやトレーナーの袖、ズボンの裾は噛みつかれてボロボロになっていた。

自身の鼻水と犬のよだれで酷い状態になっていた気がする。

そして、この犬は色んなものを食べた。

しかし、気に入らない食べ物は、咥えてどっかに持って行って隠すのだ。

帰ってきたとき、鼻に土が付いているから埋めたことがバレバレ。しかし、

「埋めた? 何を言っているんだ? 早く新しいモノをくれ。」

そんな顔をする。  今となっては良い思い出だ。

 

さて、デザインは本家の張り子籠かぶり犬に負けじ劣らず、間抜けなデザインにしつつ、

噛みついてきそうなワイルドな顔つきとした。 

このフォルムは学生の頃に製作した作品の図案がベースになっている。

ハンドルを回すと、ペタペタ動き、口をアグアグと動かす。

軸は固定していないので、傾けると回転し、手足の動くタイミングが変わる。

竹籠は載せても、載せなくてもいい。 適当。 そう。 適当でOKなのだ。

愛すべき日本犬。

友、そして家族。

作者

糸日谷 晃

東京造形大学デザイン科にて美術・デザインを学ぶ。
博物館に就職。 学芸員業務、工作室の運営に尽力。
ワークショップやイベントの企画、題材のデザイン・開発を手がけ、講師を務める。
現在、岡山県最高峰-後山の麓に工房を構えて活動中。


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